ガレマール帝国(Garlean Empire)
ガレマール帝国の始祖たるガレアン族は元々イルサバード大陸でも比較的温暖な中央山脈以南、コルヴォ地方に暮らしていたのだが、今から800年前に勃発した異民族との戦いに敗れ北方へと追いやられた。それ以来、半世紀前まで北洲イルサバード大陸北東部の永久凍土に近い寒冷地にある辺境の一国に過ぎなかった。一年の大半が氷と雪に覆われ、海洋資源も乏しいという厳しい環境下で、ガレアン族は身を寄せ合い、異民族の侵攻に怯えつつその生を細々と永らえてきた。
そんな中、内気な一兵卒が状況を一変させる。内気な青年は青燐機関を用いた魔導技術による技術革新を唱え、その技術の軍事転用を足掛かりにのし上がった。ガレアン人は遺伝的に体内のエーテルを放出することが不得手な民族であった為、魔法を使う事が出来ない。そのためガルヴァスが興した魔導技術の軍事転用により魔法を使う国と対等以上に戦えるようになった事実がそれまで抑圧されてきたガレアン人にとってどれほどの事だったかは想像に難しくない。頭角を現した青年は卓越した軍才を発揮し、辺境の弱小国を世界に覇を唱える強国へと躍進させた。その若き将は名を「ソル・ゾス・ガルヴァス」という。ガルヴァスはガレマール共和国を強大な軍事国家に仕立て上げ「懐かしい故郷(ロクス・アモエヌス)の奪還」を掲げ民衆を味方に付けながら、弱者だったガレアン族に対し青燐技術に依存した選民思想を植え付け、長年彼らを脅かしてきた異民族を「蛮族」と定義し、軍事力により国土の拡大を図った。
そして瞬く間にイルサバード大陸を制覇し覇者となると、国民の圧倒的かつ熱狂的な支持の元、遂にガレマール帝国初代皇帝に上り詰めた。この「ソル・ゾス・ガルヴァス」こそ「アシエン・エメトセルク」である。
アシエン・エメトセルクは、真実を知らぬまま支配者としての歪んだ矜持を抱く事となったガレアン族を煽り続け、蛮神討伐を国是として大義名分化した上で「魔導技術による先進文明をあまねく世界の隅々にまで伝え、野蛮な宗教を信じる蛮族を高みへと導く」という高邁な理想を掲げることで、侵略戦争を正当化し東州オサード小大陸へと進軍、怒涛の勢いでダルマスカを滅ぼすと、多民族の乱立地帯であったヤンサ平原をまとめたドマをも隷属させた。さらにその手を西州アルデナード小大陸へと伸ばし、強国アラミゴを滅ぼすとそのままエオルゼアへと侵攻を続けた。「世に戦乱の種をまいて霊災の引き金を引かせるための道具」となす。それは過去にアラグがアラグ帝国を興すに至ったのと同じ手法であった。
エオルゼアに侵攻を続けるガレマール帝国軍は飛空戦艦アグリウスを動員しモードゥナへと進軍。この時、湖から銀泪湖の守り神とされた幻龍「ミドガルズオルム」が現れ、ガレマール帝国の戦艦アグリウスに巻き付き相討ちする形で墜落せしめた。国威を掛けた大型飛行戦艦の墜落により勢いを失ったガレマール帝国軍を追い討ちするように、始皇帝ソル・ゾス・ガルヴァスが病に倒れ急逝したとの知らせがガレマール帝国軍を震撼させる。
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ガレマール帝国皇帝ソル・ゾス・ガルヴァスの崩御が伝えられると同時に、ガレマール帝国本国では後継者争いが勃発する。後継者は全軍を統括する要職である大将軍を9年も勤め上げたソル帝の長男の息子であるヴァリスが有力視されていたが、ソル帝の推進してきた「拡張主義」と「蛮神の積極的討伐」という方針を嫌う一派がソ
ル帝の次男の息子ネルウァを擁立したことで帝位争いが激化する。帝国内は国を二分する激しい内戦状態となり、破竹の勢いで侵攻を続けてきたガレマール帝国軍はここにきて完全にその進軍を止めた。内戦にまで発展した後継者争いは最終的にヴァリス・イェー・ガルヴァスが制し、二代目皇帝「ヴァリス・ゾス・ガルヴァス」として即位することとなった。
関連項目:ヴァリス・ゾス・ガルヴァス
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